ロックインジャパン 参戦記 その3 フェスは茨城!サンサンサマータイム!Yes!
さて、BLAST!、チャイマと来てもうすでに息も絶え絶えのモノノフに対し、ももクロはさらなる試練を与えることとなる。
「ココ☆ナツ」
そう、夏と言えばこの曲、去年の気志團でみんなでサークルを作ったあの曲がひたちなかに響き渡る!
とはいえここまでアップ、アップで来ているセットリストに加えて、天気予報とは裏腹の強い日差し。バッグのポカリスエットだけが命綱。生きて帰ろう。そう娘と目で約束しながらのココ☆ナツ。
ももクロさんの振り付けでは、サークルは2サビからなのだが、そこはそれ。フェスであるから、そんなお約束はみんなもう忘れて1サビからガンガン回ってガンガン逆回転していく。
1サビ終わりですでにライフゲージがレッドゾーンに。まずい、ポカリを、と口をつけて胸元のポシュレボディーバッグに収納した。サークルは2コーラス目に入り一度小休止。みな、持ち場へ戻る。そして再び2サビが始まり、狂乱のサークル、形成。ここでポシュレボディーバッグの欠点であるチャックの締まりの悪さが露呈し、僕はサークル中央でボディーバッグの中身をすべてぶちまけた。あわてて中身を拾ってくれる周囲の仲間たち。
財布や貴重品の回収を確認し、サークルに戻り、ふと確認する。そして気が付く。
ポ カ リ ス エ ッ ト が な い
そう、炎天下のココ☆ナツサークルで水分を出し切った僕の手元にあるはずのポカリスエットがないのである。バッグの中身をぶちまけたときにポカリスエットだけ回収できていなかったらしい。ももクロの皆さんは短めに自己紹介を始める。
その時悟った。
「ああ、僕は、今日、ここで、死ぬんだな」
お願い!死なないで!次回「㍿こんにちあーりん🌷 死す」
デュエルスタンバイ!
(次回へ続く)
ロックインジャパン2018 参戦記 その2 本気で本気で本気で本気で 獲りに行くから
1曲目のBLAST!が終わり、いつもより疲労が来るのが早いなあという違和感を抱えていた僕らをよそに、ももいろクローバーZはさらに畳みかけてきた。
そう、Chai Maxxだ。
「がんばっChai Maxx!」の歌声にノフからは一斉に歓声が上がる。昨年もこのひたちなかで歌ったChai Maxx。昨年はほぼ終盤に歌われたが、今年はここでの登場。いやでも盛り上がるモノノフ。
「勇敢な挑戦者たちがリングサイドに現れた」
去年はこの歌詞に、ロッキン初登場のももクロを重ねていたが、今年は少し違っていた。燦燦と照り付ける太陽の強い日差しの中、どこまでももいろクローバーZに僕らがついていけるのか。まるで僕らをももクロが試すかのような歌詞。
やってやろう、とことん。今回も覚悟を決めた。
今年もBメロのあーりんパートに誰も迷いなくぴたっと厚く「あーりん!あーりん!」とあーりんコールが入り、「Gong! Chime、Max!」でみなが一斉にサビへの突入の合図と言わんばかりに腕を振り回す。
さあ、サビだ。「ほーんきで本気で本気で本気で!」の歌詞とともに昨年と同じく大きな輪が形成された。そうだ、これがロッキンならではの「チャイマサークル」だ。
みなサークルの中心に向かって一斉にフリコピを始める。オーイングもここではみんなが声をそろえている。そして、「はいせーの!」という掛け声とともに膝蹴り!膝蹴り!膝蹴り!膝蹴り!さらに、「びゅんびゅんびゅんびゅん」でみんなくるくる回り始める。
楽しい!圧倒的に楽しいぞ!と同時にふと気が付いた。
「今、めちゃくちゃ体ツラい!」
そう、昨年は薄曇りで分かっていなかったが8月11日って実は真夏。30度はゆうに超えているであろう気温に加え、照り付ける太陽を遮るものが雲も含めて何もないのである。体温は上がる上がる、水分なくなるなくなる。楽しくて踊れば踊るほど体温は上がり水分を失う。そう、楽しいとつらくなる。なにそれ。なんの罠ですか?それ。
クルリンチラリンキラリンスルリン1Roundですでに僕は膝に手をつきながら肩で息をしていた。後ろからが~す~の声が聞こえる「お前らみんなもう若くないんだから!無理しないで!」わかってる。わかってるけど、楽しいんだもん!でも、楽しいけど、これ、つらいの!どうしたらいいの?
でも、やめられない止まらないのがChai Maxx。全身の遺伝子前進拡張子のあーりんの声を聞きながらハートを奮い立たせる。そう、パワフルな合言葉、Chai Maxxで。
二番のサビもサークルでフリコピだ。大丈夫、死にはしないさ。これだけ人がいれば誰かがどうにかしてくれるさ。そんな気持ちでまたドリフ気分で踊り続けた。ぐんぐんぐんぐんとくるくる回り、「一進一退一勝一敗 2Round!」のあーりんの声に呼応するように、気持ちだけは誰よりも高く飛んだ。……はずだが、果たして体は本当に飛べていただろうか。この気持ち、あーりんに届け!あーりん大好き&死にたくない!
さて、その後の間奏、ドリフの早口言葉のフリコピをみんなでやる場所なのだが、もう体が限界。膝に手をつき、ポカリスエットに口をつけ、あーりんごめんね、あーりんごめんね、と言いながら息を整える。なぜなら、3周目のサビがそのあとにやってくると知っているから。この時に僕は思ったのだ。「まずい。このままでは、ももクロに、このセトリに殺される」と。いや。もちろんそうなっても本望である、というくらいの気持ちではいつもいる。ももクロのライブを見ながら天に召される、それも本望であるが、さすがにそれは事故。完全に事故。事故はだめだ。ももクロさんも悲しむし困るだろう。ならば生きなければいけない。ももクロさんに迷惑をかけてはいけない。生存のための本能が強く自分に言い聞かせた。「3サビまではおとなしくしろ」と。
しかし3サビ前のCメロ、僕はやってしまったのだ。「眩しくてユニフォームまで溶けそう!」のあーりんの声に僕は自然と連続推しジャン、いわゆるマサイをかましていた。あれだけ体力を温存しろと生きるために揺り動かされたはずの本能を超えた推しジャン。何がそうさせたって、それこそあーりんへの愛。太陽が眩しくて僕のどんたくユニフォームまで溶けそう。
体力の温存?なにそれ?知らん!といった雰囲気で3サビ突入。ふと見るとノフ装備ではない見知らぬ青年もフリコピサークルに参加しているのが見えた。そうか、青年。君もチャイマを踊りたいか。わかるよ、楽しそうだもんな。少しは覚えたか?青年よ。いや、大丈夫だ。多少踊りが違ったって誰も何も言わないさ。見よう見まねでかまわない。さあ、いっしょに踊ろう、溶けあえるまで。*1
気が付くと息も絶え絶えの状態で僕はあーりんの「ラスト―!」の声に拳を振り上げていた。たぶん、3サビもフリコピしたはず。たぶん。
最後の決めポーズまでたどり着いた。まだ生きてる。生きてるよ!母さん!
僕は果たして最後まで生き残れるのか。次回へ続く。
ロックインジャパン2018 参戦記 その1 Bland Newな勝利のアンセム
その日は透き通るほど青い空と強い日差しが照り付ける、まさに「真夏」。予報では雨が降るかも、なんて言われたりしていたが、そんな予報はなんだったのかと言わんばかりに太陽が燦燦と我々を照らしていた。
overtureでテンションが上がった僕たちはじっと立っているだけでもその体力が削がれてしまう暑さも気にせずにその歌の始まりを待った。去年は怪盗少女でいきなり名刺を鋭く投げつけた5人。さあ、今年はどんなスタートダッシュを見せてくれるのか。期待に胸を躍らせていたところに聞き慣れたあの低音が響く。
流れるイントロはそう、BLAST!
去年は4番バッターを務めたこの曲が今年はトップバッター。
自然と周囲のノフたちは肩を組み合い、できあがる大きな円陣。短いイントロの終わりで自然とすっと解かれ、百田さんの「イェイイェイェイイェイ!」の声にみなクラップを始める。そう、去年、有安さんが歌っていたこのパートは百田さんの歌声へと継がれている。
百田さんの歌う「聴いときなBland New 勝利のアンセム What did you say?」というその歌詞にはっと気づく。そうか、今年のロッキンは4人での真新しい、まさにBland Newな勝利のアンセムでスタートか。去年とは全く違う新しい勝利の方程式か。そういうことか、勝ったな。間違いない、今年も勝ったぞ。そんな気持ちでゆっくりした「うーりゃ!おーい!」の心地よい響きに身をゆだねる。
うりゃ、のコールの厚さに今年も確信する。間違いなくこの場所は楽しくなる。今年も楽しくなる。
「ごちゃごちゃ今は全て捨ててこう 積み上げて来た事振り絞ろう」
そう、今はもうごちゃごちゃしたこたぁどうでもいい。そこにいる少女たちとすべてを振り絞り共有して楽しめばいい。結果は自然についてくるはずだ。僕たちが大好きなこのももいろクローバーZをみんな見てくれ!きっと好きになるはずだ!そんな気持ちで踊り続けた。照りつける太陽も気にせずに、サビで、頭上で大きく腕を回し踊りながら、僕らは新生ももいろクローバーZの、すでにライブでも何度も聞いて聞いて聞き慣れたはずのBland New Anthemに改めて酔い痴れた。
最後のあーりんの「Oh Yeah Yeah Yeah~」のフェイクに「BLAST! BLAST! BLAST!」と応えながら、最後、あるものは弓を放ち、あるものはドリブルし、あるものはバーベルを挙げ、あるものは天を指さしながら、すでに戦い切ったかのような満足感をみな得ていた。
そう、この時はまだ我々は気が付いていなかったのだ。ももクロが僕たちに生きるか死ぬかの大勝負を挑んできていることに。
「暑いせいかなー。いつもより疲れたような気がするなー」という違和感を胸に僕らは2曲目を待った。
どうなる、ももクロ。どうなる、モノノフ。次回へ続く!
ロックインジャパン2018 参戦記 その0 ももいろクローバーZ ひたちなか再び
今年も僕たちはその約束の地の前にいた。PAテント前。去年、だれが言うでもなく集まり最高に盛り上がってハイタッチとともにまた来年、と誓い合った場所だった。
期待に胸を躍らせながら知り合いたちを待機していると、そこにダウンタウンももクロバンド、通称DMBが登場した。会場のボルテージが一気に上がった。どこからともなく湧き上がるDMBコール。そう、ロッキンにおいて彼らはすでに欠かせない存在だ。ロッキンにやってくる音楽好きな人たちも一目置くメンバーの演奏。その演奏のためにももクロ聞きに来た、という人すらいるくらいの豪華な面々だ。
彼らはサウンドチェックを兼ねて曲の一節を演奏する。「お。サラバ?」「マホロバだ!」そのたびにノフが盛り上がっていく。
すると、最後にあの曲が始まった。そう、笑一笑。
ももいろクローバZの姿はステージにはない。ボーカルの声もない。そこにあるのはバンドの音とビジョンの歌詞だけ。だというのに、一斉にそこかしこに上がるピースサイン。すでにももクロがいるかのような熱量。
笑一笑のリハーサルを終え、バンドは一度袖に戻る。
みんな確信する。「今日も優勝はもらった」
すると、なにかの拍子にマイクのスイッチが入ったのか、袖の百田さんの声が会場のスピーカーに流れ始めた。何を言っているのかははっきりとは聞き取れなかったが、おそらく、ステージに上がる前にやるいつもの「儀式」の声だろうか。一瞬でその声は消えたが、確かに聞こえたその声に我々も気合いのスイッチを入れなおした。
さあ、いよいよだ。
ビジョンに現れる「ももいろクローバーZ」の文字。そして流れるoverture。会場に一瞬の静寂が訪れるが、それはすぐに破られた。
「あー!よっしゃももクロ―!れに!かなこ!しおり!あーりん!行!く!ぜ!ももいろクローバー!」
その声に導かれるように4人はステージにとうとう現れた。待ちに待ったももいろクローバーZの、それはそれは、暑い熱い夏の一日の始まりだった。
(次回へ続く)
ロックインジャパン2018 参戦記 序
2017年8月11日。茨城県ひたちなか市、国営ひたち海浜公園。その一番大きな広場に建てられたステージにももいろクローバーZは立っていた。 ロックインジャパンフェス2017。日本最大級の邦楽ロックを中心とした音楽フェスに、結成9年目で初めて立った5人。
ももいろクローバーZのみなさん。茨城で最高のステージ、ありがとうございます。
— ㍿こんにちあーりん🌷 (@Arin_Yasu) August 11, 2017
あなたたちの歌声がこのひたちなかの空に響き渡った今日と言う日、絶対に忘れません!
去年のステージ終わりの僕のツイートにあるように、僕らはその最高のパフォーマンスにただただ圧倒された。ロックってなんだ?アイドルってなんだ?その問いへの答えを提示するためにステージで歌い踊る5人の女性に改めて僕たちは魅了された。また来年ここで会いたいね、いや、絶対に会おう。会えるから。そう約束して僕らはひたちなかを後にした。
あれからきっかり一年。
そう、またももいろクローバーZがひたちなかに帰ってきた。しかし、今年は少しだけその姿を変えていた。ファンの皆さんならご存知だろうが有安杏果の卒業により4人となったももいろクローバーZ。その4人がおそらく初めて挑む数万人規模の本格的な対外試合。
個人的にはまったく不安のようなものを感じることはなかったが、それでも僕らファンの目線とは違うある種好奇の入り混じった目線で4人となったももクロを見た人たちがどのような反応を示すのか、これには興味と心配の入り混じった親のような気持ちにならざるを得なかった。
しかし、これから記すように、ももいろクローバーZはそのような心配を一掃するステージを提示してくれた。ひたちなかには僕たちの夏が今年も色濃く刻まれた。
今年の夏は昨年以上に暑くて、熱かった。
これはそんなロックインジャパン2018に参戦した僕の主観に基づくももいろクローバーZのステージの記録である。
Grenadeに寄せて
2018年6月24日、横浜アリーナでAYAKANATION 2018が開催されました。あーりんワールド全開、ピンク一色で横浜アリーナだけはまさに非日常の夏のバカンスといった最高のコンサートだったと思います。
さて、その中で「Grenade」という曲が披露されました。この曲、もしかしたらあーりん推し以外の人にはなじみの薄い曲かもしれません。というのもこの曲、TeddyLoid氏のコラボレーションアルバム「SILENT PLANET」に収録されている曲なのです。様々な著名人とのコラボレーション曲がそろう中、あーりんは「Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ」という形で参加しています。*1
この曲のタイトル、「Grenade」はフランス語で「柘榴(ざくろ)」という意味です。読み方は「グラナデゥ」です。*2
ざくろ?なんで?と思った方も多いかと思います。僕もそう思いました。とあるフォロワーさんがその意味を教えてくれるまでは。
歌詞をよく聞いていると、2コーラス目で「口に含んだ4粒の柘榴が」という一節が出てきます。これがどうやらポイントのようです。これを読み解くにはギリシア神話を開かねばならないようです。*3
全知全能の神として知られるゼウスと、春をもたらす豊穣の女神として知られるデメテルの間にはコレーという娘がいました。
ある日、コレーがニューサと呼ばれる山で妖精たちと花を摘んでいました。するとそこに、ひときわ美しい水仙の花が咲いており、これを摘もうとコレーは皆のもとを離れました。その時、急に大地が裂けて、黒い馬に乗った冥王ハデスが現れてコレーを連れ去りました。
ハデスはコレーに恋をしてしまい、実はゼウスのもとに事前に「お嬢さんをください!」とあいさつに行っておりました。そして、ゼウスも独断で「どうせデメテルに聞いても、あいつはうんとは言わんし、わしがなんとかするから結婚してよいぞ。」と許可を出していました。許可があったとはいえ、ハデスはどうにも女性の扱いには不慣れで、どうアプローチしていいかわからなかったようで、このように少々強引に水仙の花を使ってコレーを引き付けて拉致のような手口で連れ去ってしまったのです。
さて、この連れ去りを知った母デメテルは怒り心頭。「あたしゃ知らないよ、娘を返せよ」という話になります。*4ところが、まあ結婚を許してしまった以上どうしようもできないゼウスは「いや、まあ、ハデスは冥王だし、地位もあるし、それならまあいいんじゃね?」と全く取り合ってもくれないのです。これに怒ったデメテルはオリンポスを去り、地上に身を隠し、世界は、一切実りのない土地となりました。そう、デメテルは豊穣を司る女神ですから、身を隠したことで、地上には不毛な世界だけが広がることとなりました。
一方、連れ去られたコレーは冥界でペルセポネと呼ばれ、ハデスらによってそれはそれは丁寧な扱いを受けておりました。しかし、まあ、無理やり急にこんなくらい地の底の冥界に連れ去られたものですから、いくら丁寧に扱われてもハデスの「結婚してくれないか」というプロポーズに決してYesと答えることはありませんでしたし、出された食べ物にも一切口をつけることすらありませんでした。
さて、実りのなくなった世界を憂うオリンポスの神々。ゼウスは困り果ててヘルメスを冥界へと使いに出し、ペルセポネを返してはくれないかと説得します。拉致のような手口をとってしまった負い目なのか、その説得にハデスは仕方なく応じペルセポネを解放します。しかし、この時にハデスは「腹減ったべ」と柘榴の実をそっと差し出しました。それまで頑なにハデスを拒み続けてきたペルセポネですが、ここまでの空腹には勝てず、「すまん、辛抱たまらん」と差し出された12粒あったうちの4粒の柘榴を口にしたのです。
デメテルは娘の帰還を喜びオリンポスへ戻ります。ここでデメテルは娘に尋ねます。「冥界でなんか食べたりしなかった?」と。ペルセポネは「柘榴食べちゃったし、でも4粒だし、なんか食え食えうるさかったし、おなか減ってたし。」と素直に答えます。
さあ大変。何が大変って、神々の間では「冥界の食物を口にしたものは以後客として扱われ、冥界へとどまらねばならない。」という鉄の掟があったからです。これに関してはすべての神々の合意の上で作り出された冥界との鉄の掟なので、ゼウスも簡単には反故にはできません。この掟に従ってペルセポネはまた冥界へ戻らなければならなくなりました。
もちろんデメテルは抗議します。「いや、ハデスな、お前そもそもうちの娘、無理やり拉致してるわけだしな、腹減ったとこに無理やり食わせたんちゃうの?うちの娘もそう言うとるわ。」
デメテルが怒りで身を隠せば、世界はまた不毛な土地になってしまいます。これに困ったオリンポスの神々は会議を開き、「まあ、ハデスも無理やり食わせたとこもあるみたいだし、んじゃ、12粒あった柘榴のうち4粒食べたから、12か月のうち4か月だけ冥界に嫁に出す、ってことでどうでしょうかね。」と妥協案を提案、ゼウスとハデス双方ともこれを受け入れる形で、ペルセポネは毎年4か月だけ冥界に嫁入りをすることとなりました。
デメテルも仕方なくこれを受け入れましたが、娘を冥界に送っている4か月を嘆き悲しみながら過ごし、実りをもたらすことをやめるようになりました。それが、冬という季節になったのです。そして、毎年ペルセポネが返ってくる時期になるとデメテルはまた喜びを爆発させるように大地に実りをもたらすようになりました。そう、これが春です。
口に含んだ4粒の柘榴が
痛み越えたときに何をねえ実らせるでしょう
ふと手に取り口にしてしまったあの日のたった4粒の果実が痛みをもたらすとは、心に冬をもたらすとはあの時思わなかった。
泣きたいよりも悲しすぎたから
色のない暗がりで世界中の時を止めてた
誰かを、何かを失った悲しみが、心に深い冬をもたらす。世界中の時が止まったかのように長い冬が心を覆いつくす。
もしあの日君に会わなければ あの日君に会えなかったら
こんな こんな 青空も知らずにいたよ きっと
しかし、やがて春がまた来る。冬の後には必ず春がやってくる。今、君と出会えたから、希望という名の君と共に、また春の青空を歩き出そう。
そんなことをギリシア神話をベースにあーりんが絶望と希望を歌っている隠れた名曲です。
ぜひ、お聞きください。
※先にも言いましたがギリシア神話には諸説ありますし、それらがごちゃ混ぜになっている可能性があります。私もそういった断片的な資料に基づき記述しています。また、本ブログではその内容に一部脚色も加えていますのでご了承ください。正確な内容について知りたい方は成書などに当たられることをおすすめいたします。
ロッキンジャパン2017参戦記 第9回「世界の未来へ響け」
忘れたころに最終回を迎えるロッキンジャパン参戦記。
Chai Maxxも終わり、曲数から考えてもそろそろ終わりが近いころだ。次は何で来るのだろうかと考えていたら、あの特徴的なイントロが流れ出した。
「桃色空」
それまでの高い熱を持っていた僕たちの額を手でそっとやさしく包み込んで冷ましてくれるかのような歌声。今日一日の楽しかった思い出が一気によみがえる。
ステージではあーりんが身をよじらせるように柔らかい曲線を描きながら踊る。20歳を超えた大人になった今だからこそできる表現なのかもしれない。
間奏に入り、バンド紹介が始まる。この瞬間に、ああ、やはりそうか、もう終わってしまうのだな、という寂しさが襲う。いつまでも歌っていてほしいが、それも叶わない永遠なのだ。
あいにくの曇天で、桃色空とはいかないグラスステージだったが、我々の心の中にはピンクの夕焼けが広がっていた。堂本剛さん、本当にいい曲をありがとう。そう思いながら、ただただやさしい歌声に身をゆだねていた。
曲が終わり、メンバーとDMBが一列に並ぶ。そして、マイクを下ろし、いつものようにマイクなしの生声であの子たちが叫ぶ。
「今日は本当に、ありがとうございましたー!」
ひたちなかに響き渡るその声は、どの現場で聞いたありがとうよりも遠くまで響き渡っていたように思われた。
深々と頭を下げるあの子たちに僕もまた、しっかり頭を下げた。
「ありがとうございました!最高のステージをありがとうございました!」と。
僕が頭を上げてもなお深々と頭を下げているあの子たち。いつだって変わらないのだ。いつだって、僕たちに深々と頭を下げてくれて、いつもいつもありがとうって思っているのはこっちなのに。そう思うと、自然と視界が涙でかすむ。今日だけはそんな涙も拭わずにあの子たちを見ていた。
メンバーはそのままステージを降りていく。最後までみんなに手を振りながら。
ふと振り返る。周りにはカラフルな人たち。みんな、涙を浮かべながら最高の笑顔だ。これだ。ももクロの後に笑顔が残る。これがももクロのスタイルだ。
知り合いもいればそうじゃない人もいるが、みな、自然と手を挙げて、次々に「お疲れさまでした!」とハイタッチを繰り返す。
なんだろうか、やり切ったな、出し尽くしたな、という満足感から自然とアンコールも発生しないまま、ハイタッチを繰り返しながら歩きだす。
シートエリアの拠点に戻ると、みなが口々に「最高でしたね!」と言う。というか、みな、「最高」以外の言葉を見つけられないくらいの最高のライブだった。
そこで、仲間の一人が携帯の画面を見ながら泣いていた。ノフではないと思われる人たちが、楽しかった、かっこよかった、かわいかったと口々にほめてくれる様子を、ツイッターで見て、うれしくなり泣いていたのだ。(下記モーメント参照)
僕はきっとこの日を忘れないだろう、茨城の地でももクロがノフも非ノフもごちゃごちゃに集めてただひたすらに歌い踊り、優勝*1した2017年8月11日を。
ももいろクローバーZのみなさん。茨城で最高のステージ、ありがとうございます。
— あーりん推しやす (@Arin_Yasu) 2017年8月11日
あなたたちの歌声がこのひたちなかの空に響き渡った今日と言う日、絶対に忘れません!
ありがとう、ももいろクローバーZ。ありがとう、あーりん。
また、来年、ここで会えるといいね。
……いや、また、来年、ここで会おうね。
そう誓いながら、僕は夢であった急行ロックインジャパン号で家路についたのだった。
急行ロックインジャパン pic.twitter.com/EXqLm8wE8D
— あーりん推しやす (@Arin_Yasu) 2017年8月11日
急行ロックインジャパンに乗って帰るのが夢だったんだ。いつか、ロッキン行こうって。それが、ももクロさんで実現した。ありがとうももクロさん。
— あーりん推しやす (@Arin_Yasu) 2017年8月11日
(完)
*1:オタク特有の言い回しであり、何かに勝った優勝ではなく、ただただすごかったという誉め言葉である。もちろん、ロッキンは何のコンテストでもないし、他の出演者を負かしているというわけでもない